アジャイルはビジネスを舞台にして演出すべき

以前から言っていった「エンジニアはビジネスを戦場にして戦うべき」という表現はここらでやめておこう。

戦うのではなくビジネス価値を創造するための演出が必要だ。

そういう意味ではアジャイル開発も同じ。

僕は、アジャイル開発について、「ビジネスリスクの軽減」や「ビジネス価値の創発」という観点で大いなる可能性を感じている。そういう意味では一風変わったアジャイル派なのかも。

Agile...敏捷(びんしょう)な, 機敏な, すばしこい

しかし、残念ながら「ビジネスリスクの軽減」や「ビジネス価値の創発」を行うには、いまのIT業界におけるアジャイル開発の考え方では、視野が狭すぎると感じる。
続き
よって、匠メソッドの体系の中に「ビジネスアジャイル方法論」を導入して、既にライセンス企業に育成/チーム形成を始めている。

既に業務開発にも適用が始まっていて、その現場の中でより洗練化していこうとしている。

「ビジネスアジャイル方法論」は、要求開発の考え方に、アジャイル開発のよいところを融合し、できるだけスピーディにビジネス企画と実施を行う方法として開発した方法論であり、その方法論の狙う範囲には、ビジネス開発の企画、プロジェクトクリエイション、および、システム企画も含まれる。

大まかに言うと、骨の形成は要求開発的(結果イメージが見える化されたプラン)、肉の形成はアジャイル的に進めるのだ。そのようにすることでビジネスの道に迷うことを抑止しながらビジネス価値を高めていく。

この方法論の中では、開発という概念は、システム開発もあれば業務開発もある。

システム視点で業務価値を高める視点(HOWからの突き上げ)だけを持つのではなく、ビジネス戦略/業務視点であるべきシステムの姿を見る目を養うのである。後者の視点では、システム開発は手段の一要素にすぎずシステム開発をしない事もある。

なぜこのような自然な発想に、欧米も含めたIT業界が、たどり着かないか考えることがある。

おそらくそれは、アジャイルムーブメント等、流行のせいだろう。

人は計画と実施を分けたがる。「戦略に基づく計画をしないかぎり実施はできない(計画主導派)」と主張する人対して、それでは現代の不確実な世の中の価値は創出できないと主張し「そもそも戦略や計画は最初からわかるものではないので、実施しながら価値を見える化していこう(アジャイル派)」と考える人もいる。

しかし、後者のアジャイル派は、チームの中で優秀なマイスターが頭の中で、仮説的なビジネス価値を描き、それに基づき仮説的計画を立て、それを早急に実現していく手法なのだ。それの仮説の部分が個人の技量の中に埋もれているため、その事に多くの人が気がついていないのではないか?。

しかもこの問題の本質は、そのマイスターの視野の広さによってアジャイル適用の範囲やビジネス価値が狭められる可能性があるということだ。

いずれにせよ、このような世の中の状況を見ると、「流行の風に揺られて真実が隠され、人は上に下にと流されてしまう」ように思う。

そもそもビジネス視点における、戦略性/計画性は重要。ただ、問題としては、戦略性や計画性の価値は実は実現方法や実現方法のチューニングから生まれるということだ。

そこで最重要な事は、戦略と現場に起こる実現のシナジーをつなぐ方法が必要とされ、そこにアジャイルの活用する場があると思うのである。

そういう視点で見る限り、アジャイルには欠陥があるし、ここに書いている記事も理解できる。

「Agile と Scrumの重大な欠陥を明らかにする」
http://www.infoq.com/jp/news/2010/03/serious-flaws-agile-scrum

ちなみに僕のアジャイル開発に対する問題提起(愛の鞭)は2009年3月のアイティメディアのこの記事にまとめている。

http://jibun.atmarkit.co.jp/lskill01/rensai/takumi/04/01.html

しかし、しかし、なぜ今頃このような問題提起が?と思ってしまう。また、この問題をどうすべきかということにはKai氏は触れていない。おそらくこの問題に対してアジャイル提唱者たちはいろんな角度から対抗あるいは、改善を加えていくだろう。

僕は、欧米主導のこのようなアプローチでは、何年経っても僕の考えている方向に軌道修正できないのではないかと思っている。

僕の出した解は、「要求開発」と「アジャイル開発」を融合させた方法を素早く作り、実践の中で洗練させることである。このような発想は、開発経験と、ビジネスのセンスと、従来の開発プロセスの知識と応用力、そして、アジャイル的な発想が必要とされると思う。

その解の今の姿が、ビジネスアジャイルであり、これによりユーザ企業を通して本気で世界一を目指すプロジェクトがいま正に始まろうとしている。

まだ正式にはアナウンスしていないが、3月の匠塾オープン講座では、このことをテーマに匠の取り組みを紹介する予定。気になる方は、満員にならないうちに、いまから予約してください(^^

http://www.takumistyle.net/takumijuku/

僕がこの日記を通して言いたい事は、

ブームはブームとして乗るのは良い、アジャイル開発をやっている人も、要求開発を学び実践しようとしている人も、あるいはビジネスアジャイルを実践しはじめようと思っている人も、それらをブームに乗ることは良いことだと思う。

しかし、自社に戻って、自社の開発やお客様に提供するアプローチや手法については、流行の風に揺られずに、非常に普遍的でかつシンプルな真実を、そのブームの骨格の中や、現場の中から、掴み取るための技を磨いてほしい。

そのためには、ビジネス価値という視点ですべての仕事を組み直すという勇気が必要だと思うのである。

そうしないかぎり、これからのIT業界、欧米と同じく流行の風によってさまよい続けるように思う。

つまりはビジネスアジャイルのような考え方が日本から数多くて提唱され、それらが切磋琢磨し、そこから世界に出て行くものを作った方が手っ取り早くビジネス価値を高めるための将来のIT企業の姿形成というゴールに向かうのではないかと思う。

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